あなたは半年前に食べたもので出来ている、by村山彩 <書評>

あなたは半年前に食べたものでできている

あなたは半年前に食べたものでできている



自分を大切にするのって本当に基本的なところから整えていくことが大切なんだなと思ったご本。
ずっと興味があって、でも、何となく尻込みをしてしまって読めていなかったご本。セミナーの課題図書としてあげられていたので、何とか読んだのですが、このご本も何度も読み返したい本になりそうです。
何で尻込みして読めなかったかというと、自分の現実を目の当たりにしなくてはいけなくなるだろうなと思っていたから。
運動はしなきゃなって思っていても疲れててやる気が出ないし、すごくお腹空いちゃうし。職場でも腹ペコ星人なんです。口癖は3つ。あなたはきっと知りたくないよっていうかもしれないですけど、それをしれっと知らないふりをして公表すると、それは、お腹すいた、眠たい、帰りたい、です!多分話しているとわかると思います。すぐ言っちゃう。あたしがもし患者として入院して、うっかり禁食なんかにされてしまったら絶対に不穏になります。暴れる。それくらいすぐ腹ペコになってしまうし、日々ストレスで相当ご飯、食べていると思います。そんな現状を自分でわかってるのに、半年前に食べたもので出来てる、なんて言われたら怖くて読めなかったんです。
自炊推奨してるんだろうな、運動しろって絶対書いてあるんでしょうって、まぁその通りですよね。ですよね。。。
病気の知識をある程度持っていたら、規則正しい生活を送らなきゃいけないことも、しっかりとした食事をとらなきゃいけないことも、運動しなきゃいけないということもわかるんです。わかるんだよ。。いや、でも、もしかしたらみんな知ってることなのかもしれない。
あたしの勤めている病棟では、中性脂肪の値がめっちゃ高かったり、LDLコレステロール値が高かったり、それと同じように総コレステロール値も高かったりする患者さんが多いんです。高血圧、高脂血症、糖尿病…OH…当然そういう患者さんは他の患者さんと比べてカロリーは制限されますし、指導も入ることになりますよね。
あたしも、患者さんの退院指導のとき言いますしね。バランスのとれた食事を食べて、塩分は控えめにねって。でもそもそもバランスの取れた食事ってなんだろうなって思いません??
例えばどんなものを食べたらいいですか、って聞かれたらあたし、何て答えたんでしょうね?普段料理しないから答えられないと思います。
決して料理が下手なわけではないと思うけれど、でも料理するくらいなら本を読んだりとか、疲れた〜ってぼんやりして美味しい紅茶とか啜っていたほうがずっと自分のためじゃないかなってどうしても思ってしまうんです。
だって。燃費も悪いからすぐお腹空いちゃうし、料理を作ったら作ったで作りすぎて食べ過ぎちゃうし、うまく献立立てられないし、うまく食材を使い切れないし、って料理を倦厭する理由をあげたら切りが無いくらい。
でも、そうやって理由つけて逃げて、食事を大切にしないってことは自分の体を大切にしないことと一緒なんだよなって改めて感じたのが正直なところ。
完璧さを求めすぎて、自分が嫌になるのが嫌だったんだけど、でも、そうじゃなくて、このご本を読んで出来ることがあるんじゃないの?という考えにシフトしたいなぁ、という気持ちになりました。
絶対食事って大事なんです。だけど、食事だけじゃなくて、取った分は動く必要があるし、気分を整えてくれたりとか、耐久性をつけるためにももちろん運動は必要なんです。
毎日ちゃんとした食事をしなきゃって思い込んでいた部分もあったし、運動もきついの、やらないとだめなんでしょうって思っていたところがあって。だけど、本にはまぁ20分汗をかくような運動をーランニングを主にー勧めているんですが、でもそれって本当に基本的な部分でもあるので、すごく納得した部分が多かったです。無理のない範囲から始めて、ランニング出来るようになりたいなぁ。48時間ルールや1週間で帳尻を合わせるとか、何だか親近感を感じましたし、インスタントの味噌汁に卵を入れるとかそういう工夫でもいいんだなって思ったら湧いた安心感。こういうことなら面倒くさがりなあたしでも出来そうです。
本書では「体貯金」と「心貯金」にも触れられていました。これって医療現場とか福祉の現場にいたら実感できると思うんですけど、90歳すぎのおばあちゃんはしゃきしゃき動いてご飯も毎食全量食べているかと思いきや、50代半ばで寝たきりでっていう方もいて。それって日々のちょっとした食事とか、運動の積み重ねだったとあたしも思うんです。あとは、嚥下障害で全く食事を食べられなかった方がリハビリを続けた結果ご飯を食べられるようになって、みるみるうちに回復していったっていうのも見ているので、食事ってすごく大事なもので、人間にとって大切なものなんだなっていう実感もあるので、すごく腑に落ちました。
個人的にびびっとなったのは、食事量が明確に書かれていたことです。農林水産省厚生労働省の出している「食事バランスガイド」を参考にして、さらっとまとめられていますけど、こういうの、きっと普段普通に生活していたら絶対目にしないものじゃないですか。ご飯類はこのくらいが目安ですって明確にわかっていたら自分も気をつけられるし、患者さんに指導するときにも、バランスのとれた食事って何?って突っ込まれたときにもうまく伝えられるはずです。
このくらいの量ですっていうこと、彩りのバランスと、味付けの工夫。そういうことなら、何となく取り入れてみようかなってきっと伝えられた方も思っていたくれるはずです。
今は病院務めで、病気になった方を早く回復するための援助を仕事としていますが、近い将来予防医学方面に進みたくて。病気になる前の、元気な人に病気にならないように、指導していけるような仕事をしていきたいと思っているので、とても参考になりました。

体と心は繋がっている。どちらかが悪くなれば繋がっているどちらも悪くなってしまう。
自分のことを大切にしていく、って食事とか運動とか、基本的な些細なことと思われていることから整えていくことなのかな、と思えたご本でした。

素敵なご本を紹介します

素敵なご本を紹介します

あけみちゃんのご本を読みました!
あけみちゃんというのは岡部明美さんのこと。
「もどっておいで、私の元気!」というご本を、今回は読ませていただきました。
優しさ、生きるということの尊さ、ありのままでいいんだよという思い、そんな色んな宝物が詰まっているご本だと思います。
毎日の忙しさに自分の気持ちをごまかして、知らないふりを繰り返している人に、ぜひ読んでもらいたいご本です。

読んでいてぐっときたこと、わかるなぁって思ったこと、こんな表現もあるんだな、って思ったこと。色んな感情があたしの中に沸き起こっては去り、また新たな感情が湧いて……を繰り返しました。
その感情を書き起こすのは、中々難しくて、心の中の感情とあたしが知っている頭の中の語彙では掴まえきれなくてとてももどかしい思いをしています。
その中で特に感じた思いは、自分に対しての責任の取り方を、あたしは知らなかったのかな、ということ。
本来の自分に戻る、というのが自分に対しての責任を取る方法なのだとしたら、あたしは自分自身にどれだけ無責任なことをしてきたことでしょう。
それを特に感じたものが、第5章112頁の「終わり」という詩。以下に一部引用させていただきます。


”自分の死から目をそむけ続けていた頃は、いつか、いつかと自分の願いを引き伸ばしていた。永遠にこない明日があることなど認めずに、いつか来る日を信じようとしていた。人はふだん死を忘れているから生きていけるのだけれど、その分、自分がこの世に生まれたことの意味も忘れて生きている。そして、ある日突然、理不尽に人生の幕が降りる。
自分の死にきちんと向き合うことは、限りなく自分の人生を大切することにつながった。”


看護師として、医療現場に立っている身として、その現実は常にあたしの身近にあるものなのだけれど、忘れてしまう、とても大事なこと。ある日突然、病に倒れ、この先続くと思っていた道が現実にはあり得ないと厳しく突きつける現実をあたしは知っている。
そういう人をみながら、大事なことってなんだろうね、とあたしはよく思うのだ。
自分の健康状態を見て見ぬふりをして、こんな病気になって、仕事で休めなくて病院に行けなくて、高血圧とか糖尿病とか放置しっぱなしで、こうして倒れてしまって、会社はあなたに何をくれたの?って。その仕事をしていて幸せだったの?って。勿論、それは患者さんを傷つけてしまうだけだから言わないのだけれど。でも、これから社会復帰をする人に、こういうことを言ったことはある。

自分の健康より、仕事のほうが大切だったの?


治る病気ならいい。
病気を抱えていても、きちんと生活出来るならそれでもいいけれど、でも、そうなって、自分を、家族を、社会を責めたりしない?

医療現場に立っているとそう思ことが多々ある。けれど、自分はどうなの?って振り返ったことがなかった。
わくわくすることも、自分が嬉しくなることもよくわからないまま、毎日に追われて、それでいいやって。
いつかきっとあたしもわくわくして嬉しくて幸せで、心から満足出来る生活が送れるに違いない、なんてぼんやりと思っていた。努力もせず。何も変える気すらなく。
でもそうじゃない。そうじゃないのだ。いつかなんて来ないってあたしは知っている。誰かが変えてくれるわけがない。自分が変えていかなければ、何も変わらない。
自分のわくわくすることや、嬉しいことや、幸せになれる、ほっこり出来ることを、他人が自分以上に理解出来るわけもない。
だからこそ、自分を取り戻すことが必要だな、と感じて、あけみちゃんの詩を読み進めて、そうして出会った言葉にあたしは感謝したい。でも、だって、どうせ、と言いたくなった人は絶対に勇気付けられると思うから。


”自分がもって生まれた贈り物は、決して一番である必要もなければ、社会的評価を与えられたものである必要もない。自分が好きだと思うこと、楽に出来ること、心地いいこと、夢中になれること、得意なこと、楽しいこと、訳もなく心ひかれること、それをしているときの自分が好きというものの中にたいてい潜んでいる。”(第5章116頁、「贈り物」より抜粋)


自分を幸せに出来るのは、自分だけだよ。誰かが与えてくれるものじゃない。あたしが喜ぶものは何だろう?常に問いかけて、あたしらしく生きていきたい。

こんな素敵なご本を書いて下さったあけみちゃん、本当にありがとう。

もどっておいで私の元気!―気づきのノート (ゼンブックス)

もどっておいで私の元気!―気づきのノート (ゼンブックス)